ハダカデバネズミ:哺乳類で稀有な真社会生物

〈生きもの〉 ハダカデバネズミ-女王・兵隊・ふとん係 (岩波科学ライブラリー)




タイトル 「ハダカデバネズミ 女王・兵隊・布団係」

吉田重人・岡ノ谷一夫 (著)

岩波科学ライブラリー



私の周りで「ハダカデバネズミ」というワードがささやかれるようになったのは大体10年くらい前だったから2010年前後だったと思います。その頃にテレビの番組で紹介されたハダカデバネズミを観た時は、少なからず衝撃を受けた覚えがあります。


この本はそのハダカデバネズミの特徴、生態や行動様式について詳しく書かれています。


ハダカデバネズミは哺乳類としては珍しい真社会性を基に生活しています。アリやハチのように女王をヒエラルキーの頂点に据えて、その下に王様ネズミ、兵隊ネズミ、働きネズミと続きます。女王や王様以外は繁殖行動をとらず、なんなら敵が来たら自ら命を投げ出してでも群れを守ろうとします。
この社会性を採用する生き物に向けられる質問として多いのが、「大部分の個体は自分の子供を残さないのになんで従順に活動してるの?」というものですが、それは染色体が理由です。


われわれヒトが子供を作ると、子供は父と母の遺伝子を半分ずつ、つまり親は子供に50%の遺伝子を託します。しかし真社会生物のオスは自分の子供に遺伝子の25%しか残せません。


つまり、女王は自分の子供に75%の遺伝子を残すため、姉妹(75%)の方が自分の子(50%)より血が濃い という現象が発生しているのです。


これはハダカデバネズミが広くて乾燥した地域に住み、他の群れのオスと接触することが少ないからこうなったのでしょうが、哺乳類でこの社会性を採用しているのはこれまたデバネズミの仲間だというのですから、どれだけ奇異な生活をしているのかが分かります。


また、ハダカデバネズミは自分で体温調節が出来ません。これは地上の気温の変化に適応できないという重大な欠点と引き換えに、代謝エネルギーの節約に貢献し、少ない食料で行動できることを意味します。


その証拠に、乾燥地帯でエサが少ないにも関わらず80匹ほどの群れを形成しているという報告もあるほどです。エサがそれほど必要ないので、数を増やして手広くエサを探すという戦略が可能なんですね。


そして代謝エネルギーによって酸化が比較的起こりにくい事がハダカデバネズミが他のネズミに比べて10倍ちかく生きることができる秘密なのかもしれません。


いろいろと不思議な特徴が見受けられるハダカデバネズミですが、人間の医療に応用できる部分が多いということで最近注目されているそうです。


その中の一つである長寿の研究は、できれば自分が生きてる間に完成してほしいですね。
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テーマ : こんな本を読んだ
ジャンル : 本・雑誌

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くりーぴーホワイト

Author:くりーぴーホワイト
外資系企業に就職したものの、上司の英語が全く理解できないため、英語吹き替えアニメで英語学習する方法を発案して実行中。読書メモも兼ねてなるべく頻繁に更新するよう努めている今日この頃。

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