ゾウの耳が大きいのは聴力向上のためなのか?

ゾウの耳はなぜ大きい?―「代謝エンジン」で読み解く生命の秩序と多様性




タイトル 「ゾウの耳はなぜ大きいのか?」

クリス・レイヴァース (著)
斉藤隆央 (訳)
早川書房


この本は、だれもが一度は疑問に思ったことがありそうな生物に関する疑問について生理学、進化論、バイオメカニズム、生態学を縦横無尽に駆け回りながら真実に迫っていく一冊です。


タイトルにもあるように、なぜゾウの耳が大きいのかということを検証してゆくのですが、潔いことにこの問題は比較的序盤で解決を見ることになります(笑)





そして中盤から終盤は地球上の生物の代謝エンジンについて取り上げられています。実はゾウの耳の大きさの秘密もメタボリズム経由で検証されていたのですね。


一番印象に残ったのはハダカデバネズミの項目です。通常哺乳類は、爬虫類とちがい体内で熱を発生させて、どんな状況でも一定の体温を保って活動します。しかし比較的気温が安定している地中で暮らすハダカデバネズミには、体温調節する機能はなく、体温がほかの哺乳類と比べて低いです。


そんなハダカデバネズミですが、主食は地中に生えているジャガイモとかの球根を食べるそうです。種類によっては砂漠にも住んでいるハダカデバネズミは、小さな個体数をたくさん産んで、下手な鉄砲も数撃ちゃ当たる形式で不毛な地に生えている餌を探します。


しかしここで疑問が生じます。個体数を増やしてしまえば、普通に考えたらその分エサをたくさん見つけなければなりません。一個体が小さいとはいえ多くなればなるほど全体で摂取するエネルギーがどうしても増えます。これでは本末転倒です。ハダカエバネズミはどうやってこの難題をかいくぐっているのでしょう。


それを解決するのがハダカデバネズミの代謝システムです。哺乳類はエネルギーの大半を基礎代謝に費やしていますが、その必要が無いハダカネズミは、その分のエネルギーを摂取することなくエサをセーブできるというのです。この代謝システムのおかげで体内の酸化も抑制されて寿命が長いことで知られているハダカデバネズミですが、最近ではがんにもならないということが発覚したようで、研究者たちの注目を集めています。


ゾウやハダカデバネズミだけでなく、恐竜や鳥類の代謝システムについての考察もふんだんに盛り込まれていて、中でも恐竜の章は、骨格から恐竜の動きや代謝システムの推測をしており、想像力を掻き立てられます。


多様な分野に足を踏み入れながら10代の学生だけでなく、あらゆる世代が楽しめる良書だと思います。


ところで、上記の本の内容と似通ったコンテンツを載せている本が中公新書から出版されているので、こちらもオススメしたいです。


ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)
ゾウの時間 ネズミの時間―サイズの生物学 (中公新書)本川 達雄

中央公論社 1992-08
売り上げランキング : 346


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

スポンサーサイト



テーマ : 読書メモ
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

くりーぴーホワイト

Author:くりーぴーホワイト
外資系企業に就職したものの、上司の英語が全く理解できないため、英語吹き替えアニメで英語学習する方法を発案して実行中。読書メモも兼ねてなるべく頻繁に更新するよう努めている今日この頃。

最新記事
カテゴリ
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる