金メダルへの道は努力か、遺伝子か?

スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?──アスリートの科学 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)



タイトル 「スポーツ遺伝子は勝者を決めるか?」
デイヴィッド・エプスタイン (著)
川又政治 (訳)
ハヤカワ・ノンフィクション文庫


「将来はオリンピック選手になりたい」や「プロ野球選手になりたい」といった想いは誰もが持ったことのある夢ではないでしょうか。


同時にスポーツにのめり込んで、大会に出たりして周りと自分の実力を比べる機会が増えると、「自分は本当にこの競技に向いているのだろうか」という考えも頭をよぎるのではないでしょうか。


この本はそんな誰もが持ったことのある、しかし誰も確たる結論にまでは至っていない難題に挑んだ一冊です。



この本のテーマは「スポーツの分野で活躍するためには重要なのは遺伝子か、それとも努力か」ということです。両者を比較するために、それぞれ大きくページが割かれています。


例えば遺伝子の項目に関しては「なぜ黒人は短距離から長距離に至るまで金メダルを独占できるのか」という真相にせまります。もともと人類はアフリカから発祥し、徐々にほかの大陸に移り住んだという経緯があります。


そこから人類の多様性の源はアフリカ系にあるという説のくわしい説明がなされます。俗に言われる「一番金メダルを取れる遺伝子」を所有する人が黒人に多いですが、同時に「一番金メダルとは無縁の遺伝子」も黒人が所有しているという考えも紹介され、その発想はなかったなと、妙に納得してしまいました。


対して、努力の項目では有名な「一万時間の法則」について取り上げられています。「一万時間の法則」とは文字通り1万時間練習することでプロになれるという法則ですが、察しのとおり科学的な根拠自体はありません。プロの人からアンケートを実施し、プロになる人が消化した練習時間を集計した結果、だいたい1万時間になったというのがこの法則の本質のようです。


また、犬ぞりの章が設けられていて(個人的にはこの章が一番面白かったです)、犬ぞりの大会で優勝しまくっている人がどうやって犬の交配をさせるかという説明がされていました。


従来の犬ぞりのセオリーは、一定の距離を速く走らせてしばらく休ませるというものでしたが、今日では時速11kmほどで19時間休まず走らせるというのが基本のようです。これを可能にさせるのは持久力のある心肺機能や機銃系機能ですが、それと共に「走ること」で脳の報酬系を刺激させることができる体質にあるようです。


この項目を読んで犬ぞりの本が読みたくなったのですが、調べてみるとその手の本が思いのほか少ないことに気づいた私でした。


上記の項目だけでなく、スポーツ遺伝子に関する興味深い項目(遺伝子テスト、高地トレーニング、理想的な体系など)がたくさん載せられている500ページから成る本書は、スポーツ選手を目指している少年少女、自分の子供を何らかの形で応援したい親などにぜひ読んでもらいたいです。
スポンサーサイト



テーマ : こんな本を読んだ
ジャンル : 本・雑誌

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

くりーぴーホワイト

Author:くりーぴーホワイト
外資系企業に就職したものの、上司の英語が全く理解できないため、英語吹き替えアニメで英語学習する方法を発案して実行中。読書メモも兼ねてなるべく頻繁に更新するよう努めている今日この頃。

最新記事
カテゴリ
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる