サボテン狂である小説家が綴った多肉愛

シャボテン幻想 (ちくま学芸文庫)



タイトル 「シャボテン幻想」
龍膽寺 雄 (著)
ちくま学芸文庫



小説家でありサボテン研究家である龍膽寺氏のサボテンコレクションのカラー写真から始まるシャボテン愛あふれるサボテンエッセイ。


サボテン研究家として数冊の関連書籍を世に出しているだけに、その知識は豊富であり初心者にも理解しやすく記述され、サボテンに関してはズブのド素人である私でも「へぇ奥深いな」と言わしめる分かりやすい解説書の面を持っています。


例えば歴史面で印象に残ったのは、サボテンに含まれている麻薬的な成分を古代アステカや古代マヤの人々は儀式に活用されたことです。宗教儀式や生贄に捧げられる人に服用させることで痛みを和らげ、その間に生きたまま心臓を取り出すのだとか。



しかも生贄に捧げる頻度は尋常ではなく、毎日一人は捧げられていたので、当然自分たちの村の人間だけでは足りないわけで、それを補うために他のコミュニティに侵攻して人を攫さらって行くのが当時の戦争する理由の一つだったそうです。


祭壇に山積みにされていた生贄の山を目の当たりにした征服者コルテスも、さすがにひるんだと言われています。


また、生物を寄せ付けない砂漠に生息するサボテンの水分調達法もさまざまです。


10m以上も根を垂直に伸ばして水脈から吸い上げたり、植物体が露点に達する夜に表面に水滴を生成し、それを付近に滴らせて吸収したり、奇怪な形ですが無駄のない必要ギリギリの水準で生存できているところが、とても機能的だと思います。


中には年間20cmずつとはいえ、植物体自体を移動させて水のある場所に移動する種類もいて、この件で私の「植物は動かない」という常識を覆えされました。


エッセイなだけにサボテンを人生と被せてみている箇所が随所にみられます。マラソンとか登山だけに限らず、どの分野でもその人が打ち込んでいる内容を人生に見立てるのはよくあることですね(笑)


本書の後半に「サボテンには感情があるのではないか」という事を語っています。テレビ番組の一環で、ウソ発見器を利用した実験でそれに近い反応を示し、まんざらヤラセのようにも見えなかったとのこと。


私自身はその番組を見ていないのですが、ちょっとヤラセ臭いのではないかなと思います(笑)


と言いつつ、先日アマゾンで「植物には知能があるのではないか」というテーマの書籍を買ってしまったところを見ると、そうあって欲しいという願望は私のどこかにあるようです。


ちなみに著者いわく、「普通の植物を育てる人に悪い人はおらず、サボテンを育てる人は好き嫌いがはっきりしている勤勉な人」だそうです(笑)


B018E8SKLU植物は<知性>をもっている 20の感覚で思考する生命システム
ステファノ・マンクーゾ アレッサンドラ・ヴィオラ 久保 耕司
NHK出版 2015-11-25

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テーマ : こんな本を読んだ
ジャンル : 本・雑誌

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くりーぴーホワイト

Author:くりーぴーホワイト
外資系企業に就職したものの、上司の英語が全く理解できないため、英語吹き替えアニメで英語学習する方法を発案して実行中。読書メモも兼ねてなるべく頻繁に更新するよう努めている今日この頃。

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