ニコニコ民を震撼させたコンピューター将棋VS永世棋聖の全貌

われ敗れたり―コンピュータ棋戦のすべてを語る





タイトル 「われ敗れたり」
米長邦雄 (著)
中央公論新社


史上最年少14歳でプロ棋士になった藤井聡太四段。プロになってから連続14勝し、加藤一二三や羽生善治を下した実績、および対局内容は快挙としか言いようがありません


そんな興奮さめやまぬ現在の将棋界ですが、実は2012年にも似たようなセンセーションが巻き起こりました。


2012年にニコニコ動画で米長永世棋聖とポンピューター将棋「ボンクラーズ」の対局です。


この対戦を観戦するためにニコニコ生放送の有料会員の視聴者は34万人を超えて、無料会員を含めると100万人が視聴していたそうです。


私も生で見た訳ではありませんでしたが、この対決は相当話題を呼んだことを記憶しており、テレビでもいくつかのドキュメンタリー番組が放送されていたのを覚えています。


この本は、そんな歴史的といっても過言ではない「人間vsコンピュータ」の激戦に至る生い立ちと、実際の戦いの流れが、将棋に詳しくない方でもわかりやすく説明された一冊です。


米長永世棋聖は2003年に現役を引退したのち、日本将棋連盟の会長として将棋界をまとめていましたが、その当時からコンピュータ将棋の躍進は目を見張るものがありました。


2005年にアマチュアトップがコンピュータ将棋「激指」に敗れ、プロ棋士界にもその実力が噂され始めたころ、米長会長はコンピュータ将棋がプロに対局を申し込む際「契約金1億円」というお触れを出しました。


これによりコンピュータ将棋サイドが対局の申し込みをすることが一時こなくなり、一見すると保守的な動きをしているように見えるのですが、その真意が本書につぶさに記されていて、あながち的外れな提示ではないという事がお分かり頂けるかと思います。


そんなこんなで、ボンクラーズの対戦相手として名乗りを上げた米長会長の、対局までの数か月に行われたコンピュータ将棋に対する研究姿勢は現役を引退しても鋭く、かつ大胆な物でした。


研究を重ねるにつれて米長氏は人間とコンピュータ将棋の戦術的展開の決定的違いを見つけだし、序盤における「奇策」を編み出したのち、その後の展開を想定して行きました。


この作業は人間相手の棋士には通用することのない「コンピュータ将棋だけに通用する手」であり、実はこれが先述の「契約金1億円」の根拠に繋がるのですが、ともあれ完璧に近い準備の末に米長氏はボンクラーズとの対局に挑みました。


かれのコンピュータ戦に特化した戦術は賛否両論でしたが、当時「将棋は人間がさすもの。相手がコンピューターだろうと人間らしい指し方で正々堂々と指せ」という雰囲気の中、勝つことにこだわり、その弱点を突くというのは誰が相手だろうと戦いの基本中の基本です。


プロとして勝つことを宿命づけられていた米長氏がそれに従うという事は当然であり、またそういった姿勢が求められていたと私は思います。


余談ですがwikipediaでコンピュータ将棋という項目を検索すると、すさまじい量が書きこまれていて圧倒されました(笑)
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テーマ : 読書メモ
ジャンル : 本・雑誌

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くりーぴーホワイト

Author:くりーぴーホワイト
外資系企業に就職したものの、上司の英語が全く理解できないため、英語吹き替えアニメで英語学習する方法を発案して実行中。読書メモも兼ねてなるべく頻繁に更新するよう努めている今日この頃。

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