村上春樹が「小説家とは何か」を解説した自伝兼指南書

職業としての小説家 (新潮文庫)


タイトル 「職業としての小説家」

村上春樹 (著)
新潮文庫


作家の村上春樹が自身の経験に基づいて「作家とはいかなるものか」という事を綴った一冊です。


これほど有名な作品をか書き上げる力量をもっている作家は、さぞブッ飛んだ人生を送ってきたんだろうなと思って彼が語る経歴を読んでみたら、意外や意外、卒業後すぐに自営を開始したものの、小説家になるまでは私たち一般人とほとんど変わらない経歴の持ち主でした。

それが一変、彼が野球場でプロ野球の試合を観戦していた時、なんの前触れもなく「自分にも小説が書けるかもしれない」という考えにいたり、帰る道すがら万年筆と原稿用紙を購入、仕事の合間を縫っては作品を書いて行ったとのこと。


では全てにおいて私たちと同じ道を歩んでいたのかというと、やはりそういうわけでもなく、強いて言えば「他の人とは少しだけ違う事がしたかった、その考えがあったもんだから就職しないで、自分の好きな音楽が好きなだけ流せる喫茶店を開いた」と回想しています。


また多作で知られている村上さん。簡単に調べただけでも20作品をゆうに超えており、現在も各品を掻き続けています。2017年の2月に発売された「騎士団長殺し」もハルキストを中心に話題を呼んでいます。


騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編
騎士団長殺し :第1部 顕れるイデア編村上 春樹

新潮社 2017-02-24
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これほど大量の作品を書き上げる彼のイマジネーションの奥深さには脱帽モノですが、〆切に追われる生活を予想していたのですが、少なくとも彼は長編小説を書くに当たり、他の仕事は一切受け付けず、又かなりの時間を費やしているようです。


そのプロセスは、私にはとても事務的に見えたことも事実で、かれは作品作りのために生活をルーティン化させ、およそ芸術家の韻書を抱きやすいさ小説家というイメージとは少し違う思考パターンの持ち主でした。


一つの作品に欠ける時間の長さから考えてよくこれほどの作品を書き上げたなと思いましたが、良く考えてみると彼は小説家になっておよそ30年を経ています。


塵も積もれば山となるではありませんが、30年も続けられるそのスタミナがはごいと思います。


その点は彼の強味だと彼自身も考えている節があり、本書の冒頭にも書かれている考え方に反映されているのかもしれません。彼は小説家業界を「ロープとロープの間が広いプロレスリングのようだ」とたとえ、色々な人種の人間がとっかえひっかえ入れ替わる場所だと言っています。


興味深いのはそのあと、「リングに入るのは比較的簡単だけど、10年以上続けるのはほんの一握り」と言及しているところです。その中で30年ほどリングに立ち続け、今もなお人々を魅了する作品を発表できる姿は年季の違いを思い知らされます。


ところで彼の作品作りのスタイルは、一定のルーティンの中で生活している(せざるを得ない?)私たちと似ているところもあり、なんとなく親近感がわいてくるので不思議です。


また彼は小説家を志す者へいくつかアドバイスをしており、その一つとしてたくさんの本を読んで、自分の頭の中にたくさんの抽斗を持つようにと助言しています。


彼の生活様式のルーティン化とセットでマネしてみたら、自分の中にの小説家特有の想像力の豊かさが備わって、職場で行き詰った時になにか打開策がひらめくのではないかと想像すると「よし、やろう!」と決心する自分がいます。


結局は3日坊主で終わってしまうのかもしれませんけど(笑)
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ジャンル : 本・雑誌

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くりーぴーホワイト

Author:くりーぴーホワイト
外資系企業に就職したものの、上司の英語が全く理解できないため、英語吹き替えアニメで英語学習する方法を発案して実行中。読書メモも兼ねてなるべく頻繁に更新するよう努めている今日この頃。

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